こんにちは。
当ブログ「やたキャリア」を運営している、元人事部長の「やた」と申します。
「会社に居場所がない」
「周囲は忙しそうなのに、自分だけ仕事を任せてもらえない」
「このまま会社にいても、将来がないのではないか」
そんな不安を抱えていませんか。
私は人事部長時代、社員に任せられる仕事がなくなってしまったケースを実際に経験しました。
しかし、原因は社員によって大きく異なっていました。
この記事では、元人事責任者の経験をもとに、会社に居場所がなくなる原因と、今の会社に残るべきか転職を検討すべきかの判断基準を解説します。
会社に居場所がないと感じても、すぐに辞める必要はない
結論からお伝えすると、会社に居場所がないと感じたからといって、すぐに退職する必要はありません。
まず確認すべきなのは、居場所がないと感じる原因です。
人間関係になじめないのか、仕事を任せてもらえないのか、それとも会社から意図的に排除されているのか。
同じように居場所がないと感じていても、原因によって必要な対応は異なります。
私が特に注意してほしいのは、仕事を任されない状態が長く続いている場合です。
実務経験を積めなければ、新しいスキルや実績を身につける機会が減ってしまいます。
今の会社に居場所があるかどうかだけでなく、そこで働き続けることで自分のキャリアが前進するのかを考えることが重要です。
ただし、不当な嫌がらせや深刻なハラスメントが疑われる場合には、無理に我慢する必要はありません。
健康と安全を優先し、必要に応じて相談窓口などを利用してください。
会社に居場所がないと感じる5つの原因
会社に居場所がないと感じる理由は、一つではありません。
私が人事の立場から考えると、主に次の5つに分けられます。
職場の人間関係になじめない
職場で相談できる相手がいない。
会話に入りにくい。
周囲との距離を感じる。
こうした状況が続けば、会社に居場所がないと感じても不思議ではありません。
ただし、人間関係が良好でないことと、仕事で評価されていないことは別の問題です。
日常的な雑談が少なくても、仕事上の信頼関係が築けているケースはあります。
まずは業務に必要なコミュニケーションが取れているかを確認しましょう。
上司から仕事を任せてもらえない
周囲には次々と仕事が割り振られるのに、自分には仕事が来ない。
この場合、上司の業務配分に問題がある可能性もあれば、本人の経験や能力が求められる水準に達していない可能性もあります。
また、過去の仕事への取り組み方が、上司の判断に影響している場合もあります。
重要なのは、なぜ仕事を任されないのかを確認することです。
自分の希望と会社が期待する役割が違う
本人は専門性の高い仕事を希望していても、会社は別の役割を期待している場合があります。
中途採用では、入社時に期待された役割と、入社後の実際の業務が一致しないこともあります。
このミスマッチを放置すると、本人も会社も苦しい状況になってしまいます。
組織変更や人員配置によって役割がなくなった
組織再編、事業縮小、業務の外部委託などによって、それまで担当していた仕事がなくなることがあります。
この場合は、本人の能力や勤務態度だけに原因があるとは限りません。
会社側が新たな役割や育成機会を用意できるかが重要になります。
不当な扱いや職場での排除が起きている
合理的な理由もなく仕事を与えられない、必要な情報を共有されない、周囲から意図的に孤立させられる。
こうした状況では、ハラスメントの可能性も考える必要があります。
厚生労働省は、業務上の合理性なく仕事を与えない行為などを、パワーハラスメントの典型例である「過小な要求」として整理しています。
また、隔離や仲間外し、無視などは「人間関係からの切り離し」に該当する可能性があります。
ただし、仕事が少ないという事実だけで、直ちにパワハラと決まるわけではありません。
業務上の必要性や会社の対応、本人が置かれた状況を確認することが大切です。
参考:厚生労働省「あかるい職場応援団」パワーハラスメントとは
元人事部長が経験した、仕事を任されなくなった2つの事例
ここからは、私が人事部長として勤務していた頃に経験した事例を紹介します。
いずれも実際の経験をもとにしていますが、個人や企業が特定されないよう、業種や人物の属性などは伏せています。
事例①:与えられた仕事を拒否し続け、最終的に退職した社員
人事部長時代、ある社員が会社から与えられた仕事を拒否し続けていたことがありました。
その社員は、自分の能力を非常に高く評価しており、会社が任せる仕事をくだらないものと考えていました。
しかし、会社から与えられた業務を拒否し続ければ、任せられる仕事は次第に限られていきます。
結果として、その社員には任せられる仕事がなくなり、最終的に退職することになりました。
このケースで私が感じたのは、仕事ができると自負していることと、会社から仕事を任せてもらえることは別だという点です。
組織では、本人がやりたい仕事だけを担当できるとは限りません。
もちろん、不合理な業務命令まで無条件に受け入れる必要はありません。
しかし、会社が必要としている業務を軽視し、拒否し続ける姿勢では、上司も仕事を任せにくくなります。
会社に居場所がないと感じる原因が、本人の仕事への向き合い方にある場合もあるのです。
ただし、仕事を任されない社員が、すべてこのケースに当てはまるわけではありません。
事例②:希望する仕事に就けず、実務経験を積めなくなった社員
もう一つ、私が人事部長時代に関わったケースがあります。
ある社員は、希望する仕事に就くために中途入社しました。
ところが、実際にはその仕事に必要な能力や経験が十分ではなく、クライアントから受け入れてもらえない状況になりました。
会社としても、本人が希望する仕事を任せることが難しくなってしまったのです。
そこで会社は、別の業務への異動を打診しました。
しかし、本人はその仕事をするために転職してきたのです。
希望していた職務を諦めて別の仕事に移るという判断は、簡単には受け入れられなかったようです。
その後、本人は研修を受けながらスキルアップに取り組むことになりました。
私が人事部長として心配していたのは、研修を続けていても、希望する職務の実務経験を積めないことでした。
実際に人事面談で転職活動について確認したところ、本人は転職活動をしているものの、採用に至っていないと話していました。
転職先が決まらない理由は、実務経験の不足だけではないかもしれません。
しかし、本人が希望する職務について実績を積めていないことは、転職活動でも課題になると考えられます。
人事部長を退任した後に聞いた近況
私が人事部長を退任した後、かつての部下と話す機会があり、その社員の近況を尋ねました。
元部下の話によると、その後も希望する実務にはアサインされず、裏方の業務を担当しながら研修を続けているとのことでした。
もちろん、これは私が現在の状況を直接確認したものではありません。
ただ、人事部長時代に関わった社員が、希望する仕事の実務経験を積めていないと聞き、改めて考えさせられました。
研修で知識を身につけることは大切です。
しかし、中途採用の選考では、知識だけでなく、どのような業務を担当し、どのような成果を残してきたかも重視されます。
希望する職務の実績を職務経歴書(CV)に書けなければ、その仕事を任せられる人材であることを採用側に証明しにくくなります。
もちろん、裏方の仕事にも価値があります。
そこで身につけたスキルや成果も、職務経歴書に記載できます。
ただ、本人が目指す専門職での実務実績とは区別して考えなければなりません。
このケースでは、本人の能力や経験だけでなく、採用時に会社が求める能力を適切に見極めていたのか、入社後に実務経験を積む機会を十分に提供できたのかという、会社側の課題も考えられます。
私は、この事例から一つの教訓を得ました。
会社に居場所がないこと以上に注意すべきなのは、今の状況が続くことで、将来のキャリアの選択肢まで狭まってしまう可能性があることです。
会社で仕事を任されない社員を人事はどう見ているのか
仕事を任せてもらえないと、「自分は会社から必要とされていないのではないか」と考えてしまうかもしれません。
しかし、人事の立場では、仕事が少ないという結果だけで社員を判断するわけではありません。
私なら、少なくとも次の点を確認します。
- 本人の能力・経験と担当予定業務が合っているか
- 与えられた仕事にどう取り組んできたか
- 上司が必要な指導や仕事の割り振りを行っているか
- 本人が不足している能力を身につける機会があるか
- 異動などによって経験を活かせる可能性があるか
特に重要なのは、本人の努力だけで解決できる問題なのかという点です。
人事部長として勤務していた当時、私が難しいと感じていたのは、本人が希望する仕事と、会社が実際に任せられる仕事が一致しないケースでした。
本人に意欲があっても、その仕事に必要な経験や能力が不足していれば、会社は希望どおりの業務を任せられないことがあります。
一方で、会社が本人に適した仕事や成長の機会を用意できないのであれば、それは本人だけの問題ではありません。
能力が不足しているなら、研修や実務経験を通じて補う方法を考えられます。
しかし、会社が成長の機会を提供できないのであれば、本人がいくら努力しても状況が変わらない場合があります。
人事評価が低いことと、その社員に成長の可能性がないことは同じではありません。
社員の可能性を判断することと、現在の会社でその社員に任せられる仕事があるかを判断することは、必ずしも同じではないのです。
会社側の受け入れ体制や人材配置の問題まで含めて考える必要があります。
会社に居場所がないときに残るか転職するかの判断基準
会社に居場所がないと感じたときは、感情だけで退職を決めず、次の基準で判断することをおすすめします。
| 判断項目 | 会社に残る選択肢 | 転職を検討する選択肢 |
|---|---|---|
| 人間関係 | 改善や相談の余地がある | 深刻な問題が続き、改善が見込めない |
| 担当業務 | 今後、任される仕事がある | 役割がなく、具体的な改善計画もない |
| スキルアップ | 実務経験を積む機会がある | 研修だけで実務経験が積めない |
| 人事評価 | 課題と改善基準が明確 | 評価理由が不明で改善機会もない |
| キャリア | 希望する経験を積める | 希望職務の実績を積めない状態が続く |
この表は判断の目安です。
例えば、今すぐ希望する仕事に就けなくても、別の業務で必要な経験を積めるなら、会社に残ることが将来につながる場合があります。
反対に、仕事を任されない状況が長期化し、改善の見通しもないなら、外部の転職市場で自分の可能性を確認する価値があります。
ただし、嫌がらせや意図的な孤立、合理的な理由のない業務の取り上げなどが続いている場合は、別の対応が必要です。
こうした状況では、自分の努力だけで改善しようとせず、出来事や会社とのやり取りを記録し、社内の相談窓口や公的な労働相談窓口への相談を検討してください。
心身への影響が出ている場合には、キャリア形成よりも健康と安全を優先することが大切です。
会社に居場所がないときに状況を改善する方法
会社に残って働きたい場合は、居場所がないと感じる原因に合わせて行動することが大切です。
人間関係が原因なら、無理に職場全員と親しくなる必要はありません。
まずは業務上の相談や報告ができる相手を一人でも見つけ、必要なコミュニケーションを取れる環境を目指しましょう。
一方、仕事を任されないことが原因なら、上司と現在の役割や求められる能力を確認する必要があります。
ここからは、特に仕事を任されない場合に取りたい3つの行動を紹介します。
上司に仕事を任されない理由を確認する
感情的に不満を伝えるのではなく、今の評価や必要なスキルを具体的に確認しましょう。
例えば、「今後、担当業務を増やしていくためには、どのような能力や経験が必要でしょうか」と質問する方法があります。
会社が何を期待しているのかがわかれば、今後の行動を考えやすくなります。
実務経験を積める機会があるか確認する
研修を受けるだけでなく、補助業務や小規模な案件から実務に関われないか相談しましょう。
重要なのは、将来につながる実績を積めるかどうかです。
希望する仕事をすぐに任せてもらえなくても、関連する業務で経験を積める可能性があります。
状況を改善するための具体的な計画を作る
必要なスキル、担当できる業務、評価基準、改善状況を確認する時期を上司と共有します。
そのうえで、一定期間取り組んでも改善が見られない場合には、異動や転職も検討しましょう。
大切なのは、いつか状況が変わることを期待して待ち続けるのではなく、改善の見通しを確認することです。
職場で信頼を得て仕事を任せてもらうための考え方については、私の知人である「はるさん」が運営しているnote記事「しがない人事部長」でも取り上げています。
ぜひ、一度ご覧ください。
関連記事:人事だけが知っている、「安心して仕事を任せられる人」の共通点
会社に居場所がなくて転職する場合の注意点
転職する場合に気をつけたいのは、今の会社で起きた問題を、次の会社でも繰り返さないことです。
特に、希望する仕事内容と自分の経験・能力が合っているかを確認する必要があります。
希望する仕事内容だけで転職先を決めない
「やりたい仕事ができる」という理由だけで会社を選ぶのは危険です。
採用側が求める能力や経験と、自分が持っているスキルが合っているかを確認しましょう。
特に中途採用では、入社後すぐに一定の成果を期待される場合があります。
面接では、入社後に求められる役割や、実際に担当する業務について具体的に質問することをおすすめします。
また、求人票に記載されている仕事内容だけで判断せず、入社後の担当業務や育成体制についても確認しましょう。
職務経歴書では実績と身につけた能力を分ける
希望する仕事の実務経験が不足している場合でも、今までの経験をすべて無価値と考える必要はありません。
研修で習得した知識、補助業務で担当した内容、改善に貢献した取り組みなどを整理しましょう。
ただし、担当していない実務を担当したように書くことは避けてください。
採用側が知りたいのは、実際に何ができるのかということです。
希望職務の経験が不足している場合は、その不足を隠すのではなく、関連する経験や習得した知識を正確に伝えることが重要です。
職務経歴書の書き方|5,000枚見た元人事が書類選考で見るポイントと具体例
退職理由は会社への不満だけで終わらせない
「会社に居場所がなかったから辞めたい」という説明だけでは、採用担当者に十分な情報が伝わりません。
なぜ居場所がないと感じたのか、どのような改善を試みたのか、次の会社では何を実現したいのかを整理しましょう。
例えば、実務経験を積む機会がないのであれば、その事実と、今後どのような経験を積みたいのかを具体的に説明します。
転職活動では、今の会社への不満よりも、次の職場で実現したいことを明確にすることが重要です。
転職面接の退職理由の答え方|人事が警戒するNGパターンと好印象な伝え方
会社に居場所がない人からのよくある質問
Q1. 会社に居場所がないのは、自分の能力が低いからですか?
必ずしもそうではありません。
本人の能力と担当業務が合っていない場合もありますが、上司のマネジメントや組織の事情が原因になることもあります。
まずは仕事を任されない理由と、改善に必要な条件を確認しましょう。
Q2. 仕事を与えられないのはパワハラになりますか?
業務上の合理性なく仕事を与えない場合は、パワハラに該当する可能性があります。
一方、業務上の必要性から能力に応じて業務を調整することが、直ちにパワハラになるわけではありません。
理由が不明なまま仕事を外されている場合は、状況を記録し、社内の相談窓口や公的な労働相談窓口などに相談することも検討してください。
Q3. 会社に居場所がないだけで転職してもいいですか?
転職を検討する理由にはなります。
ただし、同じ問題を繰り返さないためにも、現在の状況が本人の能力、職場環境、会社の配置方針など、どのような理由で生じているのかを整理しておきましょう。
また、次の転職先を決める際には、仕事内容だけでなく、求められる経験や評価基準も確認することが大切です。
会社に居場所がないと感じると、「このまま働き続けていいのだろうか」と悩むこともあるでしょう。
大切なのは、今の会社に残る場合と転職する場合、それぞれの可能性を冷静に考えることです。
後悔のない選択をするためにも、外部のキャリアコーチを受けるのも一つのやり方です。
次の記事をあわせて参考にしてください。
ZaPASSコーチングキャリアの評判は?30代・40代向けの特徴と向いている人を元人事部長が解説
まとめ|会社に居場所がないときこそ、将来のキャリアを考える
会社に居場所がないと感じる原因は、人によって異なります。
仕事への姿勢が影響する場合もあれば、本人が希望する仕事と会社が求める能力が合わない場合もあります。
私が人事部長時代に経験した2つの事例は、その違いを考えるきっかけになりました。
特に注意してほしいのは、仕事を任されない状態が長く続き、実務経験を積めなくなっている場合です。
転職市場では、実際に担当してきた仕事や成果が重要な判断材料になります。
会社に残ることが、自分のキャリアを前進させるのか。それとも、今の環境から離れたほうが経験を積めるのか。
この視点で考えてみてください。
会社に残って改善できるのであれば、その可能性を大切にするべきです。
一方、改善の見通しがなく、成長の機会も得られないのであれば、転職を検討することも、自分のキャリアを守るための選択肢になります。
今の会社に居場所があるかどうかだけでなく、これからどんな経験を積み、どんな仕事ができる人になりたいのか。
その答えを見つけることが、次の一歩につながると私は考えています。
