こんにちは。当ブログ「やたキャリア」を運営している、元人事部長の「やた」です。
面接の最後に、「何か質問はありますか?」と聞かれて、思わず「特にありません」と答えてしまった。
面接が終わったあとになって、「これで落ちるのでは・・・」と不安になっている方もいるのではないでしょうか。
結論からお伝えすると、逆質問で「特にありません」と答えただけで、不採用になるわけではありません。
面接では、これまでの経験やスキル、志望理由、受け答え、募集ポジションとの相性など、さまざまな要素を総合して判断します。
逆質問は、その中の一部分です。
ただ、人事として多くの面接に関わってきた立場からすると、「特にありません」だけで終わってしまうのは少しもったいないと感じます。
私はこれまで、人事部長・採用責任者として5,000枚以上の応募書類を確認し、1,000人以上の採用面接に関わってきました。
この記事では、
- 「特にありません」と答えると採用側にはどう見えるのか
- どのような逆質問をすればよいのか
- 本当に質問がなくなった場合はどう答えればよいのか
を、採用する側の視点から解説します。
「特にありません」だけで落ちるわけではない
まず、一番気になるところからお伝えします。
逆質問で「特にありません」と答えたことだけを理由に、不採用を決めるケースは通常ありません。
面接官は逆質問だけを切り取って合否を判断しているわけではないからです。
ただし、
「本当に確認したいことはないのかな」
「入社後の仕事について、まだ具体的に考えていないのかな」
と感じる面接官はいるでしょう。
つまり、「特にありません=不採用」ではありませんが、企業について理解を深めたり、自分が働く姿を確認したりする機会を一つ逃してしまうということです。
私は逆質問を「自分をアピールするための最後の一発」とは考えていません。
むしろ、自分がその会社で働く姿の解像度を上げる時間と考えた方がいいと思っています。
採用側は逆質問から何を感じ取るのか
逆質問には、これを聞けば合格するという「正解」があるわけではありません。
ただ、何を質問するかによって、
「この人はどこまで入社後を想像しているのか」
「仕事の何を大切にしているのか」
「企業についてどの程度調べているのか」
といったことが見える場合があります。
特に中途採用では、入社後のミスマッチや早期離職を企業側も気にします。
そのため、
「仕事内容について具体的に確認したい」
「入社後に期待される役割を知りたい」
「チームがどのように仕事を進めているのか確認したい」
といった質問が出てくると、
「入社後のことまで考えているんだな」と感じることがあります。
逆に何も質問がない場合、面接官によっては、企業理解や志望度について少し物足りなさを感じることもあるでしょう。
ただし、ここも決めつけるものではありません。
面接中に十分説明されて、質問することがなくなっている場合もあるからです。
良い逆質問は「働くイメージの解像度」が上がる
では、どのような質問をすればよいのでしょうか。
考え方はシンプルです。
「この会社で自分が働くことになったら、何を知っておきたいだろう」
と考えてみてください。
面接官に評価される質問を無理に探す必要はありません。
自分が入社するかどうかを判断するための質問を考える方が、結果として自然な逆質問になります。
仕事内容や期待される役割を確認する
たとえば、
「私に期待する役割は何ですか?」
という質問。
悪い質問ではありません。
ただ、少し抽象的なので、次のように具体的にすると回答も得やすくなります。
「今回採用される方には、入社後半年程度でどのような役割や成果を期待されていますか?」
あるいは、
「現在チームが抱えている課題の中で、今回採用される方に特に期待していることはありますか?」
こう聞けば、求人票だけでは分からない「実際に求められていること」が見えてきます。
チームや仕事の進め方を確認する
たとえば、
「職場の雰囲気はどうですか?」
という質問があります。
これも悪くありませんが、
「明るい職場です」
「風通しがいいです」
といった抽象的な回答になってしまうことがあります。
そこで、
「配属予定のチームは何名程度で、どのように役割分担をされていますか?」
「業務では他部署と連携する機会は多いでしょうか。具体的にはどのような場面で連携することが多いですか?」
と聞くと、働き方をより具体的に想像できます。
入社後につまずきやすいところを聞いてみる
私が面接官として印象に残ったのは、入社後の良い面だけではなく、「大変なところ」を確認しようとする質問です。
例えば、
「中途入社された方が、入社後半年くらいまでにつまずきやすい点があれば教えていただけますか?」
という質問です。
転職では、どうしても企業の良いところに目が向きます。
しかし、実際に働き始めれば大変な部分も当然あります。
その部分を面接の段階で確認しておくことは、企業を選ぶ側にとっても大切です。
また面接官から見ても、
「良いところだけではなく、実際に働くことを考えているんだな」
と感じることがあります。
自分の経験を逆質問に入れる場合は短く
逆質問の中に自分の経験を入れる方法もあります。
例えば、
「前職では業務改善プロジェクトを担当していました。今回のポジションでも、そのような経験を活かせる課題はありますでしょうか?」
という聞き方です。
自分の経験と企業の課題をすり合わせることができます。
ただし、自分の経歴を長々と説明してしまうと、逆質問ではなく「もう一度自己PRをする時間」になってしまいます。
自分の経験は短く。
そのうえで企業について尋ねる。
この程度で十分だと思います。
逆質問で少し注意したい3つのこと
逆質問に絶対的なNGがたくさんあるわけではありません。
ただし、聞き方によっては少し気になる場合があります。
ホームページを見ればすぐ分かることだけを聞く
例えば、
「御社はどんな事業をしている会社ですか?」
と聞けば、企業研究をしていない印象を持つ面接官もいるでしょう。
同じテーマでも、
「ホームページで〇〇事業に注力されていると拝見しました。今回募集されているポジションは、その事業の中でどのような役割を担うのでしょうか?」
とすれば、質問の意味はかなり変わります。
給与・休日・福利厚生ばかりを聞く
給与や休日について質問すること自体は悪いことではありません。
転職先を決めるうえで重要な条件です。
ただし、逆質問の時間が、
「残業は何時間ですか?」
「有給は何日取れますか?」
「昇給はいくらですか?」
と、待遇の確認だけで終わってしまうと、仕事内容には関心がないのかなと感じる面接官もいるでしょう。
仕事内容や役割について確認したうえで、必要な労働条件についても確認する。
この方が自然です。
必要以上に自分を下げる
例えば、
「未経験の私でも本当に大丈夫でしょうか?」
という質問。
不安になる気持ちはよく分かります。
ただ、漠然と「大丈夫ですか」と聞くより、
「この仕事で早期にキャッチアップするために、入社前に勉強しておいた方がよいことはありますか?」
と聞いた方が、必要な情報も得られます。
逆質問は何個準備すればいい?
逆質問は、3〜5個程度準備しておくと安心です。
実際に全部聞く必要はありません。
なぜ少し多めに用意するかというと、面接中の会話ですでに回答されてしまうことがあるからです。
候補を3〜5個ほど用意しておき、その中から1〜3個程度を、面接の流れに合わせて聞く。
それくらいで十分です。
質問を全部消化することよりも、面接官の回答をきちんと聞き、「それは具体的にはどのような場面でしょうか?」などと会話を続ける方が自然です。
面接官によって逆質問を変える
誰に質問するかによって、聞く内容を変えるのもおすすめです。
人事担当者
人事担当者には、
- 採用背景
- 評価制度
- 入社後のサポート
- 働き方や制度
などを確認しやすいでしょう。
現場責任者
現場責任者であれば、
- 具体的な仕事内容
- チームの課題
- 求められる役割
- 仕事の進め方
など、現場でしか分からないことを聞けます。
役員・経営層
役員や経営層であれば、
- 今後の事業方針
- このポジションを採用する背景
- 組織として目指している方向
などを聞くと、その人だからこそ聞ける話が出てくることがあります。
面接官全員に同じ質問をする必要はありません。
その人だから聞けることを考える。
これも逆質問を作るポイントです。
本当に質問がなくなったらどうすればいい?
準備していた質問について、面接中にすべて説明してもらえることもあります。
そんなときは、無理に質問をひねり出す必要はありません。
ただ、「特にありません」だけで終えるよりも、
「ありがとうございます。本日の面接の中で、業務内容やチームについて詳しくご説明いただき、準備していた質問についても確認することができました。現時点では追加の質問はありません。」
と伝えると、なぜ質問がないのかが分かります。
さらに、本当にそう感じたのであれば、
「お話を伺って、入社後の仕事をより具体的にイメージすることができました。」
と付け加えても自然です。
大げさに志望度をアピールする必要はありません。
面接で感じたことを、そのまま伝えれば十分です。
すでに「特にありません」と答えてしまったら?
この記事を読んでいる方の中には、
「昨日の面接で、もう『特にありません』と言ってしまった・・・」
という人もいるかもしれません。
必要以上に気にしなくて大丈夫です。
面接の合否は逆質問一つだけで決まるものではありません。
私自身、人事として多くの採用面接に関わってきましたが、一つの回答だけを切り取って候補者を見るのではなく、面接全体を通して判断していました。
もし次の面接があるなら、「次は3つくらい質問を準備しておこう」くらいに考えれば十分です。
過ぎた面接を延々と反省するより、次に生かす方が建設的です。
逆質問を考える前に企業について調べておく
良い逆質問を考えるには、事前に企業について調べておくことも大切です。
最低限、
- 企業のホームページ
- 採用ページ
- 求人票
- 募集されている仕事内容
- 採用背景
- 面接までに説明された内容
には目を通しておきましょう。
そのうえで、
「書いていないこと」
「もっと具体的に知りたいこと」
を逆質問にします。
転職エージェント経由で応募している場合は、担当者が持っている企業情報や過去の選考情報について確認してみるのも一つの方法です。
ただし、ネットや転職エージェントの情報だけですべてを理解できるわけではありません。
だからこそ面接の場で、自分の目と耳で確かめる。
逆質問には、そんな役割もあります。
よくある質問
逆質問は必ずしなければいけませんか?
必須ではありません。
ただ、企業について直接確認できる貴重な機会です。
「何か聞いて評価を上げなければ」と考えるより、自分が入社を判断するうえで確認したいことを質問してみてください。
逆質問はいくつ聞けばいいですか?
面接時間にもよりますが、1〜3個程度で十分です。
3〜5個程度準備しておき、その場の流れに合わせて選ぶとよいでしょう。
最終面接でも同じ質問でいいですか?
質問してはいけないわけではありませんが、最終面接が役員や経営層であれば、その人だからこそ答えられることを聞くのがおすすめです。
事業の方向性や採用背景、今回のポジションに期待していることなどを聞くと、一次面接とは違った情報を得られるでしょう。
「特にありません」と答えると志望度が低いと思われますか?
必ずそう判断されるわけではありません。
ただし、面接官によっては「確認したいことはないのかな」と感じる場合があります。
質問がないのであれば、「面接中に疑問点が解消されたため、現時点では追加の質問はありません」と理由まで伝えると誤解されにくくなります。
まとめ|逆質問は「評価されるため」だけの時間ではない
逆質問で「特にありません」と答えたからといって、それだけで面接に落ちるわけではありません。
ただし、逆質問は企業について直接確認できる貴重な時間です。
「面接官に何を聞けば評価されるだろう」
と考えるよりも、
「この会社で自分が働く姿を具体的にするために、何を確認したいだろう」
と考えてみてください。
仕事内容。
チーム。
入社後に期待される役割。
仕事の進め方。
実際に働くうえで大変なこと。
こうしたことが具体的になれば、企業にとっても、求職者自身にとっても、入社後のミスマッチを減らす材料になります。
逆質問は、面接官を攻略するためのクイズではありません。
会社と自分がお互いを確認する、最後の対話の時間です。
「特にありません」と答えるのが怖いから質問するのではなく、自分が納得して次の会社を選ぶために質問する。
私は、そのくらいの気持ちでいいと思っています。
あなたの転職活動が成功することを、心から応援しています。
今日も最後までお付き合いいただきまして、ありがとうございました。
